雨の日
関東は花冷えの雨が続いています。
ずっと続く雨、以前は、雨もたまにはいいけど続くとね、と少し残念に思っていましたが、今は、今日も雨、と静かに受け止められます。
もしかして雨に対して肯定的になったのはこの本の影響かもしれません。
映画監督の是枝 裕和さんが書かれた『こんな雨の日に 映画「真実」をめぐるいくつかのこと』。
雨のことが書かれているわけではなく、日仏合作映画『真実』を制作する日々の日記です。
本の中身が好きだから、より好ましく思えるのかもしれませんが、この本の静かな佇まいがとても好きで、雨の日、という言葉に好意的になったように思います。
『こんな雨の日に 映画 「真実」をめぐるいくつかのこと』 是枝 裕和 著
映画『真実』はフランスの至宝といわれるカトリーヌ・ドヌーヴと、ジュリエット・ビノシュが初共演で、確執のある母娘を演じる作品です。
その映画製作の日々の一部、2018/08/23から2018/12/12に書かれた日記。
読むたびに、是枝監督の映画への情熱、スタッフ、出演する俳優、関係する方々への穏やかで柔らかく、かついつでも少し面白がっているような、俯瞰してみているような監督の目線が感じられます。
それから、カトリーヌ・ドヌーヴをはじめとしてジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、子役のクレモンティーヌたちの人柄がこちらに伝わってくるような写真やエピソードもたくさん。
(すっかりカトリーヌ・ドヌーヴのファンになってしまいました。)
そして「映画作りのパートナー」であった樹木希林さんを喪った悲しみもしずかに、深く伝わってきます。
自分が心惹かれ、繰り返し鑑賞した映画の舞台裏をこんな風に監督自身が書かれた書籍で知ることができるのはなんて贅沢なのだろう、と思いました。
そして一番印象に残った部分がこの部分でした。
「時間が経つと過去の意味は変わる。これが私が「感情の記憶」を嫌っている理由の一つだ」(『サンフォード マイズタナー オン アクティング』P144)
まさにそうだと思う。記憶とは固定化された化石のようなものではなくもっと動的なものだと思う。リメンバリングという行為によって動的にそのつど立ち上がってくるものが記憶である。 P133
ちょうど、学んでいることと結びついて、自分のなかでうまく言語化できなかったことが書かれていて、この部分だけ、何回も読み直してしまいました。
その書籍の伝えなかったことや、本筋からは少し離れていたとしても、自分がその時考えていることや、探していることへの答えや、ヒントなどが受け取れることも、読書の大きな楽しみ、喜びかもしれないと、この部分を読んで改めて思いました。
本の紹介は難しい、と思って、なかなか書けないでいたのですが、学んでいる10か月間、何度も手に取ってきた本なので、感謝の気持ちを込めて書いてみました。
拙い本の紹介記事でしたが、これからも、時折、大切な本のことについても書いてゆきたいと思います。
今日も読んでくださって、ありがとうございます。
美しい桜を堪能できる、おだやかな春でありますように。